FXの注文方法のひとつに「トレール注文」があります。
一般的にトレール注文は決済注文で利用される場合が多いですが、実は新規注文で利用すると相場暴落時に賢く活用することが出来ます。
“トレール”とは追いかけるという意味があり、決済注文の利益確定レートやロスカットレートを相場の値動きに応じて有利な方向へ自動で動かしてくれる便利な注文方法です。
レンジ相場ではなく、トレンドが発生した時に有利に働くケースが多いです。
為替レートをずっと眺めておくことが出来ない人には便利な注文方法です。リピート系自動売買で人気のトラリピでもこのトレール注文を採用している人が多いようです。
ふーじー
ふーじー
今回の記事では、新規トレール注文のメリットや使い方を紹介します!
新規トレール注文とは
新規トレール注文には2種類あります。
「現在のレートを基準にトレールが発動する」ものと「事前に決めたレートに達したらトレールが発動する」ものです。
どちらも便利な機能なのですが、今回の記事では後者の「事前に決めたレートに達したらトレールが発動する」トレール注文をオススメしています。
トレールが発動するトリガー価格を注文時に設定しておくと為替がそのレートに達した瞬間にトレール注文が稼働します。そしてトレール幅を超えて反転したときにようやく新規注文が約定します。
主に反転後のトレンドに乗ることを狙う際に利用されます。
メリット
新規トレール注文にどんなメリットがあるのか
通常の指値注文は逆張りです。買い注文ならば価格が下落した時に注文が約定します。
安く買って高く売るという意味では便利な注文方法なのですが、暴落相場などで思いがけず価格が大きく下落した際には含み損が膨らんでしまいます。
これがトリガー価格を利用した新規トレール注文ならば、暴落の最中に買ってしまうことがなく反転後に購入するため、底値付近で買える可能性が高くなります。
下図の例では、当初80円で購入する予定だったところ、新規トレール注文を使うことで3円安い77円で購入できています。
一旦反転後に再度暴落することもあるため、必ずしも底値付近で買えるとは限りませんが少なくとも一直線に暴落しているときに”ナイフをつかむ”ような買い注文を避けることが出来ます。
・当初想定していたよりも下値で買うことができるかも
・相場暴落中の新規注文で含み損を抱えないですむかも
デメリット
メリットがあればデメリットもあります。
ちょっとした下落で買いたいと思っているレートに達しても、トリガー価格まで下落しないかぎり買い注文は発動しません。
せっかくの取引機会を逃してしまう可能性があります。
また反転後に買うことになるので、底値で買えることはまずありません。
・底値では買えない
ふーじー
ふーじー
ふーじー
暴落時に新規トレール注文を賢く活用する方法
新規トレール注文はリーマンショックやコロナショックなど「100年に1度」とか「想定外の」とか言われるような大暴落時にこそ、そのメリットを発揮します。
また暴落相場で大きく動く通貨ペアに有効と考えています。
【実例】コロナショック時の豪ドル円
暴落時に値動きの激しい通貨として挙げられるのがオセアニア通貨の「豪ドル」です。先進国通貨の中では暴落時に比較的大きな下落幅を見せます。
コロナショックが発生した2020年3月には、70円付近まで下落していたレートがわずか10日間でさらに60円付近まであっという間に下落しました。
このとき以下のように新規トレール注文8本を発注していたらどうなっていたか?
トリガー価格を72円から2円間隔で8本(8万通貨)、トレール幅を3円で設定しています。
表中の注文1であれば、通常の指値注文なら75円で購入するところ、72円まで下落して3円反転したところで購入する注文になります。
トリガー 価格 |
購入価格 (予定) |
購入価格 (実績) |
発動日 | 約定日 | |
1 | 72 | 75 | 62.8 | 2/27 | 3/19 |
2 | 70 | 73 | 62.8 | 2/28 | 3/19 |
3 | 68 | 71 | 62.8 | 3/9 | 3/19 |
4 | 66 | 69 | 62.8 | 3/9 | 3/19 |
5 | 64 | 67 | 62.8 | 3/16 | 3/19 |
6 | 62 | 65 | 62.8 | 3/18 | 3/19 |
7 | 60 | 63 | 62.8 | 3/19 | 3/19 |
8 | 58 | 61 | – | – | – |
実際には豪ドルの価格はずるずると下落していき、3円反転する局面がないまま3月19日には60円を割れます。が、そこから反転して同日中に3円反転した62.8円で新規注文が成立します。
注文8は通常の指値注文であれば成立した注文ですが、新規トレール注文ではトリガー価格に到達せずに約定しませんでした。
【検証】新規トレール注文と通常指値注文の実績とリスクを比較
先ほど紹介したコロナショック時の豪ドル円の実例で大きなメリットとして目につくのが平均取得単価の違いです。
ただ新規トレール注文のメリットはそれだけではありません!
まず平均取得単価を比べると、通常指値注文は68円で8本購入したことになります。一方、新規トレール注文は62.8円で7本取得しています。
購入LOT数に違いはあれど、5円ほど安く買うことが出来たのは反転上昇後の利益に大きく貢献します。
85円まで上昇した際の利益を比べると、下図のように新規トレール注文のほうが本数が1本少ないにもかかわらず約30万円も利益が多くなっています。
平均レート | LOT数 | 利益 | |
通常指値 | 68 | 8 | 136 |
トレール | 62.8 | 7 | 155.4 |
そして、重要なのが含み損の違いです。
個人的には利益が大きくなる可能性があることよりもリスクを小さく出来るメリットに魅力を感じています。
下の表のように通常の指値注文では買い下がっていくので3月19日の最も暴落した時点では65万円余りの含み損を抱えています。
一方、新規トレール注文では、59.8円から反転後にポジションを持っているため最も暴落した時点ではポジションはなく含み損がありません。新規注文が成立後の最大含み損はわずか7千円と大きな違いが生じています。
平均レート | 最安値 | 含み損 | |
通常指値 | 68 | 59.8 | -65.6 |
トレール | 62.8 | 62.7 | -0.7 |
豪ドルは暴落時に大きく下落するケースが多いですが、同じく価格変動が大きな新興国通貨と違って暴落しても元のレートに戻る可能性が高いため、暴落局面で買い向かうと大きな利益をあげるチャンスがあります。
豪ドル円の買い時は?為替推移を予想しないほったらかし運用プラン新規トレール注文が利用できるFX会社
決済トレール注文が使えるFX会社は徐々に増えてきてメジャーな注文方法になってきましたが、新規トレール注文が使えるFX会社はまだまだ多くありません。
記事作成時の2021年10月現在、2社しか確認できていません。
★トレール注文が可能なFX会社(ふーじーのおためし研究所調べ)
決済トレール | 新規トレール | |
マネックス | 〇 | 〇 |
ヒロセ | 〇 | 〇 |
マネパ | 〇 | ✕ |
セン短 | 〇 | ✕ |
SBIFX | 〇 | ✕ |
M2J | 〇 | ✕ |
新規トレール注文が利用できるFX会社は、マネックス証券とヒロセ通商の2社。ただしヒロセ通商は「現在のレートを基準にトレールが発動する」タイプだけで、「事前に決めたレートに達したらトレールが発動する」タイプの新規トレール注文が利用できるのはマネックス証券だけ確認できています。
(その他にも使えるFX口座があればお知らせください)
マネックス証券には「FX PLUS」と「マネックスFX」の2つ口座あります。
すでに株取引等でマネックス証券の口座を開設していれば、FXPLUSの口座開設は簡単な質問に答えるだけですぐに利用できます。株口座に入金済みであればFX口座に口座間で簡単に振替可能で、いちいち入金しなくても大丈夫です。
ふーじー
「FX PLUS」と「マネックスFX」を比較してみると、スワップポイントはどちらの口座でも同じでスプレッドも大差ありません。その他項目を見ても大きな違いはないようです。
マネックス証券では、FX取引サービスとして「マネックスFX」と「FX PLUS」を提供しております。
「マネックスFX」はFX取引専用口座での取引となり、「FX PLUS」は証券総合取引口座との連携が可能となります。
(「マネックスFX」と「FX PLUS」の比較 公式HPより)
どちらの口座もまだ持っていないという人も、株取引も利用できるFX PLUSがおすすめです。
新規トレール注文を賢く活用して暴落相場に備えましょう!
FX PLUSの詳細はこちら
ふーじー
おかげ様でランキングサイトで1位を獲得しました!
最新順位をチェック 最新順位をチェック